Moveの紹介
Move言語の基礎と設計思想
💡 キー用語プレビュー
- Move — 資産中心のブロックチェーン用スマートコントラクト言語
- リソース (Resource) — コピーや削除ができず、移動のみ可能な値
- モジュール (Module) — Moveコードの基本単位(関数と型を含む)
1. Moveとは?
Moveは、ブロックチェーン上の資産を安全に扱うために設計されたプログラミング言語です。 2018年にFacebookのLibraプロジェクトから誕生し、現在はSuiやAptosなど複数のブロックチェーンで採用されています。 名前は「値をコピーせずに移動(move)する」という操作に由来し、Moveの資産モデルにおける安全性と一意性を象徴しています。
2. Moveの核心価値
核心価値 | 説明 |
---|---|
🧩 安全性 | 資産がコピー・削除されないように言語仕様で保証されている |
⚙️ 表現力 | 資産ロジックを柔軟かつ安全に設計可能 |
🚀 直感性 | スマートコントラクトだけでなくアプリ開発にも容易に応用可能 |
3. Moveの主な特徴
特徴 | 説明 |
---|---|
リソース型 (Resource Types) | デジタル資産はコピー・削除不可で、必ず「移動(move)」によって操作される |
Abilityシステム (Ability System) | 値の生成・保存・移動を厳密に制御する型属性を持つ |
モジュールシステム (Module System) | コードの再利用とカプセル化を支援し、堅牢な構造を実現 |
PTB (Programmable Transaction Block) | 複数の操作を1つのトランザクションにまとめて実行可能 |
4. SuiにおけるMove
SuiはMoveを基盤に、オブジェクト中心モデルを採用しています。これにより、資産をオブジェクト単位で安全かつ効率的に管理できます。
概念 | 説明 |
---|---|
オブジェクト中心モデル | すべての資産がオブジェクトとして扱われる |
ユニークなObject ID | 各オブジェクトはグローバルで一意のIDを持つ |
並列実行 (Parallel Execution) | 競合しないトランザクションは同時に処理可能 |
Entry関数 (Entry Function) | 誰でも呼び出せる特別なエントリーポイント |
5. MoveとPTBの関係
PTB(Programmable Transaction Block)は、複数のMoveモジュールの関数を接続し、1つのトランザクションとしてまとめて実行する仕組みです。 Suiではこれにより、複数のMove呼び出しを一括処理し、開発者は視覚的にトランザクションを設計できます。
💡 次章では、開発環境を構築し、CLIおよびVS Code Extensionを使用してMoveを実行する方法を学びます。